徒然夜

孤独にあるのにまかせて、夜にPCと向かい合って、心に浮かんでは消える他愛のない事柄を、とりとめもなく書きつけてみる

スター

 1985年10月13日。33年前の今日、その日に、僕にとってのスターがこの世に生を預かった。

 SEKAI NO OWARIのボーカルの深瀬君、33歳のお誕生日おめでとうございます…!

 

 5年前。中1の美術の授業では、毎回必ず初めにクロッキーという、友達のとったポーズのデッサンなどを行っていた。時間は約5分。その為、その時間には毎回先生が好きな曲が流れていた。

 そんなある日だった。偶然選曲され、流れた一曲に私は今まで感じた事のないような感動を覚え、クロッキーなんか全く進まず、完全にその曲に心を奪われた。透き通るように美しく、でもどこか切ない歌声に、繊細なピアノの響き、そしてファンタジーな世界観の中に深い奥行きを持ったメロディーと歌詞…私はまさに、その曲に陶酔していた。

 もっとあの人の歌声を、あのグループの曲を聴きたい…!

そう強く思った私は、授業終了後。先生の所に急いだ。

 「すいません、さっきの曲って誰の、何て言う曲ですか?」

美術の授業に全く関係のない質問に、優しい先生は嫌な顔一つせず、快く答えてくれた。

「SEKAI NO OWARIっていうバンドの、眠り姫よ」

 今までネットで探してまで聴くほど好きな歌手がいなかった僕は、その日からセカオワの曲を貪るように聴き、クラスにセカオワ好きの友達が数人いた事も影響し、すっかりセカオワの虜となってしまった。

 これが、僕とセカオワとの出会いだった。

 

 セカオワの中でも特に好きになったのが、ボーカルの深瀬君。

 もちろんかわいらしいルックスも本当に大好きだが、それ以上に彼の書く詞が、とても心に響いた。

 ある時は戦争に対する意味について、またある時は死への恐怖や考え方について、またある時は、虫たちの命について…。

 色々な詞の中で謳われている、彼の弱者など、様々なものに対する優しさや思いやり、そして命や平和に対する深い思いに、強く心を惹かれた。

 そして今まで見てきた当たり前の光景にまで、深く事を読み、考える精神とその考え方にも、深い感銘を受けた。

 彼は私の中に新たな風を吹かせ、私の中に新たな世界をも作ってしまったかのように感じられた。

 その事は決して苦痛でなく、むしろとてもありがたく、嬉しい事だった。

 

 そんな彼を、私は今までずっと追いかけてばかりいた。大好きで憧れではあるけれど、私とはかけ離れた、決して交わる事のない存在。そう思っていた。

 しかし、出会って5年。僕には、それを変える出来事が起きたのであった。

 

 何度かブログでは扱っている内容だが、僕は最近を高専中退した。それに至る経緯や理由はいくつかあるが、その中の一つに、体調を崩したことが挙げられる。

 その当時僕は、本当に心から大切な人を亡くした直後でショックから生活や勉強、全てが手につかなくなり、その結果テストも最悪で授業に出る事さえ、学校へ行くことさえ億劫になった。しかしそうなると今後が危ういという不安は増えるばかり。

 僕は様々な事に対するショックや不安に押しつぶされ、軽い精神的な病気になったと言ってもいいような、それに等しいような状態となった。

 やりたいことは全てうまくいかず、自分の状態を人に理解してもらう事さえ難しく、僕はただ、出来るだけ部屋にこもって、毎日寝てばかりの生活を送っていた。

 そんな時には、何も分からない人からの同情や励ましの言葉は余計にきついものがあった。

 

 しかしそんな時に僕を助けてくれ、少しでも落ち着かせてくれたのは、セカオワの曲だった。

 銀河街の悪夢(歌詞→http://j-lyric.net/artist/a055790/l02fc09.html)や、白昼の夢(歌詞→http://j-lyric.net/artist/a053b33/l0205e8.html)は、特に共感をし、何度も何度も聴いた。

 実は深瀬君は生まれつき精神症状を患っていて、僕なんかよりもずっと重い病気で悩まされてきた。そして今も、それと闘っている。

 この2つの曲は、特に病気が重くて苦しんでいた時期に、深瀬君が書いたとされる詞の曲だった。

 いずれの曲も、詞のほとんどが病気と闘う様子や心境、苦しみについての内容だが、最後少しだけ希望を持とう、といった内容になっている。

 そういうどっちかというとマイナスな曲は余計聴いていて苦しくなるのではないか?と、思う人もいるかもしれない。

 しかし実際は、歌詞に強く共感し、僕は、自分のことを分かってくれる人がいる…!と、強い心の支えとして捉えることができた。

 

 そして、結果的に高専中退。結論は出したものの、不安だらけ。しかし深瀬君も偶然、同じように高校を中退している。その時僕は、ずっと追いかけてばかりいた、大好きで憧れという存在の深瀬君と、どこか交わり、繋がったようにさえ感じてしまった。

 そして、つらい事や不安なこともあるけれど、僕も大好きな深瀬君のように、どん底から努力して這い上がり、いつか誰かにとって輝かしい存在になりたいと思えた。

 大げさかもしれないが、僕は深瀬君に支えられて、より一層彼を好きになった。彼は、僕にとってのスターだ。

 

 体調を崩して、高専を中退し、僕の中で確実に何かが終わってしまった。しかしそこからいかに気持ちを切り替えて頑張れるかが、見せ場だと思う。

 「終わりから始めてみよう」

僕の大好きなバンドの名前の由来であるその言葉に自分を重ねて、僕はリスタートに向けて日々頑張りたい。つらいときは彼ら音楽を聞いて、励まされながら…。

 

 「Ah まだ見ぬ宝も僕ら二人で探しに行ったね

星が降る夜に船を出してさ

Ah このまま君がいなくなったらどうしよう

そんなこと思いながら君の寝顔を見ていたんだ」

 出会いの曲を聴きながら、この曲を作詞作曲した、僕の大好きなスターに思いをはせる。

 いつか星が降る夜に、僕も遭遇してみたいものでだ…なんてね笑

 CAN’T SLEEP FANTASY NIGHT

 僕にとって聖なる夜の今日は、きっと眠ることさえできない、素敵な夜になる事だろう。

 出会いに、誕生に、乾杯……!